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November 12, 2005

“OFF WAR”

Warehouse of red brick
Warehouse of red brick,
originally uploaded by Edge.
 自転車で赤レンガ倉庫でやってるロバート・キャパ写真展に行ってきました。一番初めの所に良い文章が書いてあったので、わざわざメモ帳に写してきました。以下に書いておきます。
 ロバート・キャパは戦争写真家ではない。もちろん彼は戦場に行った。その名を高めたのは戦争の写真であったし、生涯を終えたのも戦場であった。しかし、彼のカメラがフォーカスを結んだのは、火を吐く銃口でもなければ、瓦礫に町を走る戦車でもなかった。彼のレンズの向こう側には、いつも人間がいた。
 私たちの世界には、戦争のスイッチがある。何かのきっかけでONになると戦争が動き出す。歯車が回り、ベルトが滑り、殺戮が始まる。
 人が人を殺す。それが戦争だ。しかし、ロバート・キャパの写真からは「ノー」という声が聞こえてくる。どのような状況下にあっても許されないことはある。戦争だから当然なのだと思ってはいけない。そのように見てしまうのは、こちら側の戦争のスイッチが、ONになっているからだ。
 私たちに求められているのは、自分の中にある戦争のスイッチをOFFにして戦争を見ることではないか。ロバート・キャパには、それが可能だった。それは、彼が戦争ではなく人間を撮っていたからだ。戦場にあっても、彼は“OFF WAR”の状態にいた。戦場で銃を構える兵士と、平和な町で無心に遊ぶ子供の、どちらに向けられるカメラも、レンズは一人の人間を見ている。
 歓びのただなかにある人がいる。誰かに気持ちを伝えたくて仕方がない。そういうとき彼は、まっすぐにその人の歓びの核心へ飛び込んでいく。悲しみのあまり、誰かに触られることを厳しく拒む人もいる。そういうとき彼は、慎ましい距離をおいて、そっとその人に寄り添い、その悲しみを自分の心で受け止める。ロバート・キャパは、それだけの心の振幅を備えていた。自分を見失わなかった。現象の奥にある本質を見ることができた。だからこそ、頭上を銃弾が唸り、すぐ隣で人が死んでいく戦場で、戦争のスイッチをOFFにすることができたのだ。
 “OFF WAR”わたしたちはこの写真展で、そういうロバート・キャパの“人間”に触れる。

 この文章で私が注目したのは戦争のスイッチという点。読んでてそうだよなぁ~と思いました。

 

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